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ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

アスペルガー症候群やADHD、学習障害、自閉症などの発達障害の子は、困らせる子じゃない「困ってる子」。その視点から困ってることを解決する支援のヒントや工夫を考え、もっと発達障害の子たちから見えてる世界によりそっていきましょう!

発達障害の子への障害告知とセルフアウェアネス~自分の強みを知っている事の大切さ~

子供が何かに困ってる時に、

「どうして僕はこれができないんだ!」
っていう状況で、
「それは、あなたがアスペルガー症候群っていう障害があるからよ」
っていうように、障害名以外を使って説明するのって、結構難しいですよね。

お子さんに発達障害がある事を告知するタイミングや告知する理由って様々だと思います。
これ!という正解なんてあるはずないんです。

でも一つだけ避けてもらいたいなって思うのは、上記のような本人が困ってたり悩んでたりする状況で障害の告知をしたり、困ってる状況の時にそれを「障害名」で説明することなんです。そうしちゃうと、障害を「悪い事」としてしか捉えられなくなってしまいますよね。

じゃあ、どういう風に伝えればいいのか?
今日は、「自分」を知ること(セルフアウェアネス)から始める「自分受容」という取り組みから、「障害告知」「障害受容」を考えてみたいと思います。

 障害告知をセルフアウェアネスから考える

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療育は、誰のために、何のためにあるの?

そもそも、「療育」って何のためにあると思いますか?
それはきっと、お子さんの事をよく知って、どうすれば障害とうまく付き合いながら楽に生きて行けるかを、お子さんと親御さんと支援者で学んでいくことですよね。
これは、特別支援教育にも言えることだと思います。

例えば、療育の一つソーシャルスキルトレーニングは、「自分以外」の世界の中で「自分」がうまく生きて行けるように、「スキル」と言う名の道具や方法をどんな風に使えばいいのか、を学ぶ機会ですよね。

それは決してお子さんを「障害の特性を否定して、他の子と同じようになるようにしよう」とする事じゃなく、「ありのままの自分」でいながら「自分以外の世界の中で困難なく生きて行ける術を学ぶっていうことですよね。それが療育・支援教育なんじゃないかなって思うんです。

こんな風に、療育や支援教育の中で大切なのは

  • 「そのお子さんがどういう状態(何が得意なのか・困難なのか・どんな風に状況を捉えているのか)」を知ること
  • 「お子さんの周囲にいる人達(クラスメイトや発達課題)は、その作業をどんな風に行ってるのか」を知ること
  • 「では、どんな方法をとれば、そのお子さんはそれができるようになるんだろう」を考え実行することなんじゃないかなって思うんですよね。

これを障害のある本人の視点で考えた場合

  • 「自分の周りにいる人達の考え方・方法」を知る(へ~みんなそんな風に考えてるんだぁ、そんな風にやってるんだぁ)
  • 「じゃぁ、自分はどうかな?」と考える(僕はこんな風に考えるな、私はだから大変なんだぁ、僕はだから誤解されるんだぁ)
  • 「なんかちょっと自分と周りの人はちがうみたいだなぁ」に気づいて(これを使えばうまくできるよ、こんな風に伝えれば僕のことわかって貰えるよ、こんな時は誰かに助けを求めよう)

というように、『(本人が障害を知ってなくても)障害からくる特性を含めたありのままの自分』を知っていくプロセスをたどるのを助けてあげる必要があるんじゃないかなって思うんです。

セルフアウェアネスってどういうこと?

それがセルフアウェアネスなんですよね。「自分以外の人達の考え方を知って、自分を見つめ、自分を知る」ことです。

息子の学校でやっていたセルフアウェアネスの取り組みを以前連続ツイートしました。
「空気が読めない」「暗黙の了解」が苦手な事をどんな風に受け止めればいいかといったセルフアウェアネスです。
Togetterにもまとめて頂いたものですが、こちらに一部加筆修正して再掲しますね。
セルフアウェアネスってどういうものか知っていただく参考にしていただけたらと思います。

暗黙の了解・社交辞令を学ぶセルフアウェアネス

暗黙の社会のルールに気づくのが苦手なアスペルガーの子は、太ってる人に「太ってますね」なんて言っちゃいますよね。でもこれ悪気がなくて、正直なだけなんですよね。悪気がないからと言って人を傷つけていいわけではありません。でも、「正直である事」は否定すべき・修正すべき行いですか?違いますよね。だから「そんな事言っちゃいけません」では正直である事を否定してしまいアスペルガーの子にとっては問題解決にはならないんですよね。そんな時に必要なのは「代わり」の行動を教えてあげる事なんです。

息子の学校では、「自分以外の人達の考え方を知って、自分を見つめ、自分を知る」というセルフアウェアネスという方法と「自分と他者の立場を知った上で、どう行動すれば自分も周りの人達も気持良く過ごせるか」という、問題解決の為のコーピングスキルという事を息子の社会性の向上を目指すプログラムとして取り入れています。

「暗黙の了解への理解が難しいことから、正直に思ったことを口にしてしまう」といった現状を回避するための、アスペルガーの子の為のセルフアウェアネス&コーピングスキルの内容を、息子と支援級の担任の先生と息子のやり取りを記したノートを使ってちょっと紹介します。

正直とは、自分が正しいと思ったことを口にすることです。真実を述べるのはとてもいい事です。友達やお父さんやお母さん、そして先生などが僕に何か質問してきたら、正直に真実を答えるのはとっても重要なことです。そして僕はいつでも正直です。僕はそんな自分が大好きです。

でも時々僕が正直な気持ちを言うと、それで嫌な気分になったり傷ついたりする人がいます。それは、「正直」と「礼儀正しい」」のは意味が違うからです。だから人は礼儀正しくしなきゃいけない時に、社交辞令というのを使うらしいです。『社交辞令というのは、誰かが嫌な気持ちになったり傷つくかもしれない事を言わないという事です。』

僕は、正直でいることも大切だと思うけど、礼儀正しくいることも大切にしたいです。だから、自分の言ったことで人を傷つけたり嫌な気持ちにしないために、「社交辞令」というスキルを身に着けたいと思います。

じゃあ、友達や他の人が言われて嫌なことって何かな? もし人が「太ってる、不細工、勉強ができない、髪の毛が少ない、息が臭い、着てる服が似合ってない…」そんな時、その事を正直に言ってしまうことは礼儀正しくありません。だから、こういう事は言いません。それが社交辞令です。

僕は社交辞令についてはあんまりよく分かっていないので、僕のママや先生や友達と僕とで話し合ってリストを作りました。→(リストにみんなにインタビューして、他人に言われて嫌なことがズラズラ書かれています)僕が、このリストにある事を声にだして言うのは良くないことです。もしそれが、正しかったり、僕の正直な気持ちだったとしてもです。

でも僕は今まで通り正直です。そして礼儀正しい子にもなりたいです。だからこれからも、先生や友達が僕に「それを言われて嫌だった」と教えてくれたら、それは僕の事を助けて親切で言ってくれてる事なので、怒らずに感謝してこのノートに書き足していこうと思います。(最後に一杯書き足されてました) 

支援級の先生のこの取組がいいなぁ~と思うのは、決して息子を否定してないことです。息子が正直なことはいいことだと認め、それとは別に礼儀正しくある事の大切さを教えていること。そして社交辞令を、いわゆる「おべんちゃら=自分が思ってもいないことを言う=嘘を言う」としてない事だな思います。

「セルフアウェアネス・自分受容」をもとにした障害告知について

こんな風にして息子は、色んな事に対して「自分以外の人達の考え方を知って、自分を見つめ、自分を知る」を学んできました。

それは決して「アスペルガー症候群っていう障害があるからそうなるんだよ」じゃなく「自分というのがこんな人間なんだな」を知っていく作業なんですよね。
そして息子は「アスペルガー症候群」という言葉を意識することなく、「自分らしいまま」生きて行くスキルを獲得してきたわけです。

後にひょんなことから、息子にアスペルガー症候群の事を伝えることになるわけですが、息子は、
「あ~それで僕はみんなと違うわけかぁ。謎がわかったよ、でも他のみんなと僕は違うけど僕はみんなと違う方法で色んな事を解決できてるからね。それにみんなが難しい事が簡単にできることもあるし。アスペルガーは僕の大切な一部ってわけかぁ」
と言ってくれました。

それはきっと、みんなと違う自分に誇りを持っているからだと思います。きっと「アスペルガーだからこんな事もあんな事も大変なんだよ」という風に周りが取り組んできてなかった事も大きいと思います。

こんな風に「障害告知」というのが「障害受容」ではなく、「自分受容」が始まりだったら理想的だなって思うんです。

セルフアウェアネスについて 本の紹介

異動する支援級の先生に一冊の本をもらいました。この本を使って何年もセルフアウェアネスに取り組んできたそうです。 

Asperger'S...What Does It Mean to Me?: A Workbook Explaining Self-Awareness and Life Lessons to the Child or Youth With High Functioning Autism or Aspergers

Asperger'S...What Does It Mean to Me?: A Workbook Explaining Self-Awareness and Life Lessons to the Child or Youth With High Functioning Autism or Aspergers

 

内容は、日常生活の中でアスペルガーの子が直面するであろう困難を網羅しています。例えば、友達とのこと、学校での事、社会での事、コミュニケーションの事などなど。

ワークブック形式になっていて、場面場面に応じて書かれていて、選択肢から自分の状態を選択したり、自分の事を記述するスタイルの本なので、お子さん自身が客観的に自分を見つめなおすにもいいですが、親御さんや先生がそのお子さんから見えている世界を知る手がかりにもなって、適切な・効果的な支援に役立つ本でもあると思うんです。

この本は、アスペルガー症候群の子に対するセルフアウェアネスについて書かれています。子供でもわかるようなやさしい英語で書かれてはいますが、残念ながら英語のみの販売です。
こういった本が、アスペルガー症候群だけでなく、自閉症やADHDやLDなどのお子さん向けにも日本語であればなぁと思うんです。

実は今日このブログを書いた目的の半分は、どなたかにこの本を翻訳して日本語で販売していただければなと思って紹介したかったからです。そして、他の発達障害バージョンも作っていただければなぁと。

おわりに

障害告知に関していえば、「告知する側」の人の障害に対する考え方も大きく影響すると思うんですよね。

例えば「障害を乗り越える」や「障害に打ち克つ」「障害に負けるな!」という考えを持っている人がたまにいますよね。

でもこれって『障害はだめなもの』っていう障害を差別的に見る考えが根っこにあるんだと思うんです…。そういう気持ちが伝わると、言われた側はすんなり耳を傾けられませんよね。

障害も全部ひっくるめて「その人」なんです。障害ってね、うまく付き合っていくことなんだと思うんです。だから「障害」だけを切り離して考えるんじゃなく、その人そのものを尊重し、自身の障害の特性と共にその人が当たり前に参加できる社会であってほしいな、と思います。

今日ご紹介したのは、障害の本人告知の一つの形にすぎません。

ご自身のお子さんにとって障害告知が、前向きに歩き出すきっかけになってくれればなって思います。

今日もここまで読んで下さって、どうもありがとうございました。